~中編からの続き
「きりたんぽ鍋」は秋田にもともとあった庶民の食文化ではない。
と、恐れ多くも前編で規定してしまいましたが、
スタイルこそ似てはいるもののそれとは違って、
秋田の陽気な庶民の食文化を成立の背景にしているのが「だまこ鍋」なのだ。
「だまこ鍋」は、ほぼ「きりたんぽ鍋」とほぼ同じ具材を使うが、
なんと「米のだんご」を鍋に入れるのである。
「きりたんぽ」のようにわざわざ米を棒に巻き付けて焼きを入れたりなどという面倒なことは一切しない。
秋田平野を中心とした稲作の豊穣な地域でよく食べられているこの鍋は、
豊かな田園文化を背景にしている雰囲気満載なのだ。
田圃から帰ってきた主が夕暮れ、
広い庭で遊んでいる多くの鶏の中から一番元気なヤツを一羽しめる。
別に比内鶏じゃなきゃいけないなんてことはもちろんない。
「だまこ」にもいちいち焼きを入れたりなどしない。
一家の婦女子が総出で手づかみで飯を適当にまるめて鍋に放り投げる。
でかい囲炉裏を囲む大家族。
「俺たちは米など食い飽きている。だから鍋に入れたりして食うんだぜ」
この鍋には、そういう余裕と豊かな風景がにじみ出ているのだ。
「だまこ鍋」は秋田平野を中心に仙北平野の西部まで分布している。
ここは北の冷害地域とは違い、ものなりの非常に優れた地域。
夏の日照時間は全国でもトップクラスに入り、冷害や台風などの影響もほとんどない多くの富農を生んでいる秋田文化の中心地。
事実、われわれ秋田平野に住む人々は家で「きりたんぽ鍋」を食べないのである。
「だまこ鍋」を食べるのです。
まあ現在では一緒にして食べることが多いが、
その場合でも、
「だまこ鍋にきりたんぽというものも入れている」
という感じです。
いや別に何かの示唆になるわけでも何かを主張したいわけでもないのですが、
最近、ラーメンのことばかり書いていて心苦しかったので、
匿名blogなのをいいことに完成度の低い理論をダラダラ書いてみました・・。
多少、失敗したと思っています・・。
きりたんぽ最高!
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