雄物川には「川熊」という妖怪がいるらしい。
しかし、私は雄物川に生まれ、育ち、そして今も雄物川で暮らしているが、
そんなことは誰からも聞いたことがない。
でも、いるらしいのだ。
というのも、
かの有名な江戸時代の紀行家・菅江真澄の著した書物「月乃出羽路」に、
雄物川に出る妖怪として「川熊」の記述があるのだ。
さらに、いろんな伝説もあるらしい。
漁師がヤツメ漁をしているところに、
川の中から真っ黒な毛だらけの手が現れて船中の何かを奪ったとか、
殿様の乗っている船にあらわれ鉄砲を奪って行って、
家来が潜って取り返してきたとか・・。
そのかわいらしい悪行たるや枚挙にいとまがない。
そして、この話(wikipediaより)。
「ある船頭が雄物川の岸に船をつけたところ、水音と共に何者かが船の淵に手を掛けたので、驚いてナタで斬り落としたところ、それは猫の前足のようなものであり、雄物川下流の河辺郡川添村椿川(現・秋田市雄和)で川熊の手として残されたという」
また私の正体が少しバレるのであまり言いたくないが、
ここに出ている地名は私の家の対岸なのだ。
雄物川流域といっても、
上流の神宮寺とかあのへんの話だと思っていましたが、
私の家のある場所、毎日見ているこの川に「川熊」がリアルで出現していたという。
(これが川熊らしい)
私の家の周辺にはなぜか野生動物がたくさんいるのだ。
犬猫などはもちろん、白鷺や白鳥などの野鳥やリスなどの小動物も多い。
朝起きて歯ブラシをくわえながらボヤーッと川を眺めていると、
ちっちゃいリスが木から木へチョロチョロ渡り歩いていくのが見れる。
なんと素敵なとこなのだろうか。
そして最も多いのが狸だ。
最近では増えすぎているせいなのかしょっちゅう見る。
今年の春、リフォームするために実家の床をはがしてみると、
なんと床下から狸の家族の巣穴が見つかったのだ。
しかも3世帯分も!
うちは2世帯なので人間よりも狸のほうがこの家には住んでいたことになる。
狸にダマされた気分だった・・。
それほどまでに狸にとってはここは住み心地の良いところなのだ。
しかし野生の狸というのは、
アニメなどで見るあのかわいらしくて金玉のでかいああいうものではない。
毛むくじゃらで大型。
最初見たときはアナグマかと思ってしまったほどだ。
(実家のサンルームに迷い込んだ狸)
おそらく川熊というのは、
こういう狸が魚などを獲るために川に入って、
たまたま浮かんでいる船に手をかけたというのが真相のような気がする。
ずぶ濡れの狸がいるはずもない水中からでてくれば妖怪だと思うに違いない。
狸が往来できるほど、このへんの雄物川は浅いのだ。
来年あたり、川船をGetしたらそのことを試してみたい。
気がついたら船に狸が乗っていた。
なんて出来事があったら超歴史的だ。
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