確か司馬遼太郎のなんかの本に書いてあったような気がする。
織田信長が京都を攻略した際、
追放した三好家の家臣で、坪内という京都ナンバーワン料理人を捕虜にした。
この彼に料理を作らせてみて、
うまければ命を助け、まずければ処刑することにしたという。
マンガの料理対決みたいな話だけども信長ならやりそうな気も。
そしてこの料理人坪内は命を賭けてとてもumaiものを作ったのだが、
信長の評価は、
「こんな水っぽくてまずいものが食えるか!死刑!」
ということで一蹴したそうだ。
そこで料理人坪内は泣きの一回を懇願し、再度アタックすることに。
そして今度は見事信長の舌をうならせ、
助命されたうえに信長付きの料理人として召し抱えられたという。
あとでこのことを人に尋ねられると、
「1回目は京風の上品で都会的な味で殺されるとこだったから、
2回目は濃くて塩辛い田舎くさい味付けにしただけだ。
信長なんていうのは味もわからない田舎者なのだ」
と罵倒したという。
もちろん本能寺後のことでしょうけども。
文明からの距離がある地域であればあるほど、
塩分を好むように人間の体はできているのだ。
これは常に物に溢れて飢餓に対する恐怖から解放されている都市圏と、
常に食に乏しく次にいつ体内に炭水化物を摂取して
吸収できるかわかったものではない荒野に生きる人々の違いだろう。
現代の脳卒中王国、胃ガン王国といっていいほどの塩分王国秋田は、
そういうことでいってもそうとうな田舎だということだ。
新橋の有名なおでん屋で呑んでいて、
見た目のうまそうな割には甘くて甘くて食えたもんじゃないおでんをつついていて、
そのことを思い出した。
まわりのみなさんは満足げに食しているのにも関わらず、
「こんなあめえもんで酒が飲めるか!死刑!」
と叫び出したくなった私は明らかに田舎者。
そして秋田人。
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