義理の妹が先日、結納を。
最近では結納のような儀式は簡単にサッと済ませたいということで、
そのへんのホテルなどでやることが多いが(実の妹はそうだった)、
私のカミさんの実家では、常に家の座敷でやる。
常に、とは言っても10年前に行った私の時と今回とで総計2回目なのだが。
ホテルも悪くはないけども、私はやはり家でやる方がいいな。
想像できると思いますが、家でやる方が何とも言えない「味」があるんですよ。
なにしろ今日のこの瞬間から、
向かい側に座っている見ず知らずの人たちとは親戚になるのだ。
ただの酒の席とは違い重みがあるし、だいたい私はこの一生に一度のイベントを、
「簡単に楽に、面倒なことなしでチャッと済ませたい」
と気軽に思う人の気が知れない。
手をかけるからいい思い出になるのである。
それはどんなイベントでも同じですよ。
ということで、自宅での結納の儀。
今回は山形人同士の結納。
新郎は、最上川の上流部にあるところから最上川の中流部にあるここへ、
新婦である義妹を迎えに来たのだ。
10年前、私もここで結納をした
結婚間近、とても幸せそうな二人
新郎の家は、20代続く農家でとても由緒正しいそうだ。
江戸、明治、昭和と時代はいくら変わっても、
当主であるお父さんは変わらずに同じ場所で専業農家を続けている。
本当にいい優しいとても柔らかい笑顔を作るのだ。
その顔を見ているだけでタイムスリップしているような気分になる。
結納の目録を上げるために持ってきたお盆は、
代々伝わるものらしく、赤い漆を塗り重ねた年季の入ったかなりの逸品。
山形では縁起物とされる鯉のレリーフ
次々と運び込まれる酒肴
尾花沢牛やアワビなどの祝いの肴
酒もすすみます。
思い出した。
10年前、今まさに新郎が座っている席には私が座って、
新婦が座っている席には妻が座り、
いい気になって酒を飲んでいたことを。
あれから10年。
私は新婦側の席に座って静かに酒を飲んでいる。
私の結納に山形まで同席してくれた叔父さんは二人とも今、この世にいない。
結納の口上を述べるとき、感極まって泣き出した叔父さんは昨年、亡くなった。
あのときは、朗らかに大酒を飲んで、唄をうたい、泣いたり笑ったりしたのだ。
この席に座って。
万感、胸を覆う。
若い新郎新婦が幸せになりますように。
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