先日、実家がリフォームした際に、
模様替えなどの必要性から家の中にあるものをいろいろひっくり返した。
まあ何十年も住んでいる家というのはいろんなガラクタが出てくるものだ。
次から次へと発掘されてくる微笑ましい珍品の数々・・。
その中で、これを見つけた時には、息を呑んだ。
私の生まれる前に若くして病気で亡くなった祖父がもっと若い頃、
戦争に行ったということは祖母から聞いていた。
仏壇にも軍服姿で軍馬に跨っている青年の写真が飾られてあるから、
それは間違いないだろう。
しかし、それ以上それについて何かを考えることはなかった。
私の家は前にもここで何度も書いたがかつてはかなりの貧乏な家であり、
支那事変当時、働ける男手も一人息子であった祖父だけだった。
曾祖父は早世したし、叔父は生まれたばかりであったし、
親父はまだ生まれていなかった。
しかし、国家総動員法はこういう一家の唯一の大黒柱でさえ徴兵して、
戦線へ送り込んだ。
運良く、といえばなんとなく申し訳ない気になるが、
死なずに帰還。
終戦時、祖父がどこで何をしていたのかは今の私は知らない。
戦争が悪いことだとか、仕方のないことだとか、
そういうことは一切考えずに、私は随分長い間、
埃の染みついている「皇軍」とかかれた粗末な造りのメダルをただ磨いた。
途中、涙が出てきたが、
「何故、泣いたのか?」
と問われてもわからない。
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