Tiger Uppercut!~ある秋田人の咆哮
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旅順のハヤブサ

2008 年 1 月 21 日 月曜日

日本の存亡を賭けた日露戦争真っ最中の参謀本部。
ここにあまり知られていないが「長岡外史」という人物がいた。
参謀本部の次長という要職にある人でありながら、
プロペラのようなヒゲをはやしていて、19.7インチもあったそうだ。
当時、22インチの世界一のヒゲがアメリカにいたそうなので、
世界第二位のヒゲが日本にいたことになる。
彼曰く「自分なりの愛国心のあらわれ」なのだと大真面目で言う。


ヒゲ次長・長岡外史

後年の陸軍部内でもこのヒゲ次長が、

「一流の仕事人なのか思いつきのハッタリ屋なのか」

ということは疑問だとされたらしいが、
私は前者と後者はほぼ同義だと思う。

旅順要塞包囲中の出来事。
日本陸軍の要塞包囲は完璧で、蟻一匹這い出る隙間もないのに、
要塞内部にあるステッセル司令官の談話や作戦指令などが、
連日のように外国の新聞に載るのだという。
無線のないこの時代。
このことは魔術的な風味をもった厄介な事実として、
参謀本部の前に立ちはだかった。


3年は陥ちないといわれた鉄壁の要塞・旅順

参謀本部としては要するに、
外部と繋がっている「敵の何らかの通信手段」を断ちたい。
ということで日本の諜報機関が必死で調べた結果、
その「何らかの通信手段」は伝書鳩だったということがわかった。
さっそく、この鳩どもを打ち落としてくれようということになるが、
さらに調べてみると、

「鳩は中立国のアメリカの民間人の所有であり、
          鳩舎はこれまた中立国の清国領にある」

ということがわかった。
日本のおかれている微妙な国際的立場を考えると、
外交上、堂々と鳩駆逐作戦を展開するわけにはいかないのである。
敵もさるものなのだ。
そして鳩は今日も堂々と旅順の空を飛ぶ。


強大なロシア帝国軍

「旅順を早期に陥とせなければ日本が滅ぶ」というのが口癖の、
このヒゲ次長が考えた作戦は「鷹で鳩を襲わせる」という作戦だ。
なるほど、自然の鷹が勝手に鳩を襲うのであれば、別に問題にはならないし、
敵の唯一の通信手段を断つことが出来る。
名案だ。

そして日本中から腕利きの鷹匠達が集められた。
映画「ARMAGEDON」のような悲壮で唯一のプロジェクトだったに違いない。
ターゲットが「巨大隕石」と「鳩」との違いはあるにせよ・・。

しかし、あれこれ演習を重ねるうちに驚きの新事実が判明した。
それは、

「そもそも鷹は鳩を襲う習性がない」

ということ・・。
そんなことくらい最初に調べてから言えっつーの!
と日本人なら誰もがツッコミたいところだ。
実際に、ツッコミが入ったに違いない。

鷹匠達がいうには「ハヤブサなら鳩を襲う」ということらしい。
そして、ハヤブサ作戦に切り替わったわけだが、
日本には鷹と違ってハヤブサに関する技術も文化もない。

ということで日本を滅亡から救うこの作戦案は、
まず野生のハヤブサを捕まえることから始めなければいけなかった。
日本でハヤブサが棲息しているのは和歌山県や香川県らしい。
そこに大本営から鳥を捕まえる精鋭部隊が派遣され、
山野岸壁の崖をよじのぼり、えらい苦労をしてようやく捕まえて帰還した。
しかし、さらにハヤブサを飼い慣らすには長い歳月がかかる。
大本営ではそれに一生懸命取り組んだが、
そんなことをしているうちに、旅順が別の理由で陥落してしまった。

緻密周到に計画を練り上げるという作戦家としての才能は、
まったくもっていなかったようだが、
常識に惑わされることなく奇抜なアイデアを次々と発案し、
ハヤブサでは失敗したが、飛行機や気球、スキーなどに目を付け、
次々と軍用化・実用化のキッカケを作っていったことをみると、
ハッタリ屋だったとしても天才には違いないと思う。
物事を為すにはこういう役者「愛嬌のある天才ケレン師」も必要なのだ。


長岡外史銅像

児玉源太郎や秋山真之らの天才がいたと思えばこういう人もいる。
これも明治。
私は日本人、特に明治人のこういうところが大好きです。

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プロフィール
     投稿者: TU
     紹介: 秋田市在住秋田人。会社を創業、 そして経営。現在30代前半。 人生の真夏。 好きなもの=「秋田」
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