北海道に行けばいつも必ず会う同級生がいる。
18歳の寒い冬。
一緒に北海道の大学を受験しに行ったことのあるこの彼は、
そのままこの大地に居着いてしまった。
この彼の父親は私の高校時代の恩師で地学の教師をしていた。
私は実は高校時代に無期停学になったことがあるというミラクルな経験の
持ち主なのだが、あの時の周囲の冷たかったこと冷たかったこと。
特に担任などは、あからさまに蔑視した。
担任でさえそうなのだから他は言うまでもなし。
しかし、その中でなぜかこの彼の父親だけは違ったのだ。
孤独で辛い状況の中で、この先生だけは声を掛けてくれた。
別に担任でもなければ授業を受けたこともない、
何の関係もない先生だったのに関わらず。
この先生がいなければ、もしかしたら私はここでdropoutしていたかもしれない。
先生にとっては別に大したことではなかっただろうが、
私にとっては忘れられない先生の一人となった。
2年前の爽やかな北海道の初秋。
円山公園の近くのおしゃれな建物で行われた彼の結婚式で、
私はこの先生に久しぶりに会えると思って楽しみにして秋田から出かけた。
ひとこと、お礼を言いたかったのだ。
しかし、ついに姿を見ることは出来なかった。
最後の新郎スピーチで大泣きに泣き崩れ、
天国の父へ結婚の報告をする彼を見て茫然としてしまった。
突如、私はそのことを知ったのだ。
彼は北海道で公務員となり教育に関連する仕事を続けている。
相変わらず怖い顔をしているくせに人当たりが良く、誠実ないい男だ。
とても美しい奥さんと一緒になり、子宝にも恵まれ、
札幌で幸せそうに、そしてたくましく生活していた。
先生、貴方の息子さんはしっかりやってますよ。
そして、俺もそれなりに頑張ってます。
いろいろと、ありがとうございました。
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