漢という人類史上とてつもない帝国を興した高祖、いわゆる劉邦は、
人徳でもって天下を制したという。
事実、永遠のライバルであった項羽などよりも
人徳以外の面ではすべてにわたり相当劣る。
それぐらいならまだいいとしても、自分の配下の誰よりも、
頭が悪く、口が悪く、力がなく、機転が利かず、勇気がなく、計算が利かない・・。
しかし、周囲に集まってくる人物はすべて有能の士だった。
韓信、張良、蕭何、陳平、夏候嬰・・などなど、
すべて軍事、外交、戦闘、補給、行政などそれぞれの分野で
超伝説級の人物達がこの愛すべき無能者・劉邦一個の元に集まっている。
いったい人徳というのはどういうものだろうと考えてしまう。
若い頃、ごろつきだった劉邦は(本当にごろつきだった)
常に酒屋に出入りして酒を飲んだくれては馬鹿話をしていたという。
しかも、飲み代を払う意志もなければ、実際、払いもしない。
当然、酒場の主人は疎ましく思うのだが、
しばらくして、妙に採算が合うことに気付くことになる。
彼が酒を飲みに来ると、彼を慕い、
ごろつきから役人までいろんな人々が集まり自然と大宴会になったそうだ。
これが人徳というものなんだろうなあ、と劉邦に関係する本を読んでいて思った。
そういえば私のまわりの先達にもそういうことを感じさせる人がいる。
人徳というのは何にも勝るものなんだろう。
じっと己を顧みる・・。
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