真夜中の空想につきあっていただきたい。
八郎湖の湖面が蒼いということについてである。
古代、夏の八郎湖は鏡のようである。
蒼い空に一筋の白い鷺、麗しい丹頂、そして水鳥の群れ。
湖中に大和蜆、泥中に寝起きの田螺。
モグの間からワカサギの大群が湖岸へ、するとハゼが泥から顔を出す。
この豊かな水辺の生物たち。
ここは生き物、自然の王国だ。
古代、新しいもの、魅力的なものは、すべて海から来た。
各国からの船が沿海州の波濤を越えて、十三湊を経て、井川湊に泊まる。
森山から海をのぞむと、打瀬船、丸木船、竜骨船・・
いろんな形をした船がこの穏やかな海にたくさん浮かび、
それらの船がモリヤマと呼ばれる山の下で開かれるゴジョウミの朝市に、
様々な物を並べる。
ヒッタイトの鉄兜、ペルシャの杯、ツングースの勾玉、匈奴の強弓、スラブの首飾り、唐の絹織物、マケドニアの葡萄酒、アニの山菜、アラハバキの鮭、カムチャダールの黒い貂・・・。
背が高く色白で青い目をしたコーカサイドの少女、
切れ長の目をした浅黒いモンゴロイドの青年、
獣皮を来て山から下りてきたずんぐりした狩人(マタギ)、
しなやかで剽悍な骨格を持つ辮髪の魚人(イサバト)、
背が低く牛馬を操る吊り目のヤマトの農民、・・・。
ここにはいろんな貌がある。
そうそう、ここはシルクロードの東の果て。
古代のフロンティア。
鏡をはったような湖面に映るものは蒼い天。
天ハ蒼々、風ハ颯爽。
大自然、素晴ラシキ哉、八郎湖。
昭和38年、その八郎湖を秋田の人々は、なんとっ!!!
・・・・・干した。
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